STORY 5-4

技能試験の練習法 4 
勉強のための場所・スケジュール

いよいよ最初の練習が終わり、3倍の時間がかかってガタガタの作品を目の前にうなだれる野田くんと三輪さん。
自分たちには適性がないのかと思う二人に、ベテラン流川さんはなんて声をかける?

しっかり練習するための練習場所

はい!お疲れ様!
二人とも不合格ですね、欠陥が見つかりました。
流川さん
…そもそも、時間が…え!?2時間!?
終わんないよこんなの…。
野田さん
私も全くダメです。こんなに時間がかかるなんて自己嫌悪に陥りそう…
三輪さん
ドンマイ、ドンマイ。最初はそんなものです。

時間内にできるようになるのは、…そうですね。だいたい6回目か7回目くらいからですかね。今は欠陥の無い工事を目指しましょう。

とりあえず今日は終わり。皆さんは週末自宅で練習されるんですよね。
流川さん
もちろん、今回のリベンジです!次は欠陥のないように練習してきます。
野田さん
私も少しでも早く時間を短縮したいです。
三輪さん
その意気です。
では、自宅で練習する際、どういった場所で作業をされますか。
流川さん
床です!
野田さん
はい!?
流川さん
ゆか?
三輪さん
机は無いんですか?
流川さん
机はものがいっぱいなんで、床はものをどかせば、練習スペースくらいはとれそうなんで。
野田さん
(部屋の中、すごいことになってそ〜)
三輪さん
…いや、やはり練習と言っても工具や材料を使う電気工事です。正しい姿勢でない、あるいは整理整頓していない環境で行うと、それなりに危険です。まず、練習のために机をきれいにした方が良いですね。
流川さん
あ!それは気が付きませんでした!
机の上にある、組み立て中のアンプとか材料とか、いったん戸棚にしまいます。
野田さん
(そういえば、そういう趣味があるって言ってたな〜)
三輪さん
三輪さんはいかがですか?
流川さん
私も机で練習しようと思ってはいるのですが、机が傷つくのは嫌だなあって思っていて…。
三輪さん
そうですよね。
そういった場合、作業板を使いましょう。作業板になるものはいろいろありますが、例えばこの工作用紙などは、安いですし、文房具屋さんなどでも入手しやすいです。
流川さん
厚さがやや薄いですので、2枚くらい重ねれば安心でしょう。
流川さん
自分は専用の作業板を使っていますよ!野田スペシャル!
三輪さんにも作ってあげようか!?
野田さん
んー、大丈夫〜。
三輪さん
流川さん
また気が向いたら言ってよ!遠慮はなしだよ!
野田さん
(伝わってないな〜これ)
三輪さん
そして、やはり作業中には、大量の電線くずなどのごみが出ます。
ですので、ゴミ箱なども近くにあったほうが良いですね。小さな段ボール箱に電線くずがすきまに入らないよう、ビニール袋で覆って使うなんてこともできます。
流川さん
さらに怪我をした時も考えて、救急箱あるいは絆創膏やタオルなども近くに置いておくと良いでしょう。
流川さん
よし、野田スペシャルトラッシュボックスを作成するぞ!
それと自作のスペシャル救急箱も!早速、設計図を書かなきゃ!
野田さん
(スペシャル好きだな〜)
三輪さん
机がない場合は、例えば台所のテーブルなど広い場所でもいいでしょう。もちろん作業時には、周囲の人やモノに十分注意してください。

十分な作業範囲と残材の処理ができるような場所で作業しましょう。
流川さん

練習時間はどうしよう…?

練習時間は、「間に合う」っておっしゃってましたけど、本当に間に合いますか?
三輪さん
えーと。今2時間かかってるから、2時間×13課題×3回!
計算すると72時間…。
野田さん
78時間。
三輪さん
皆さん心配ですよね。
でもそんなに時間はかかりませんよ。
練習を進めていくごとに作業時間は短くなっていくからです。
流川さん
そうなんですか?
なんか現状を見ていると想像できないんですが…
三輪さん
自分も自信があったのに、こんなに時間がかかるなんて…。
野田さん
最初の作業は非常に時間がかかるんです。これは何も皆さんだけではないんですよ。
でも2回目から、時間はおそらくですけど、2/3から半分くらいに縮まります。
流川さん
え!?そんなに!
三輪さん
それでも既定の時間の40分には届きませんよね…。
野田さん
それでいいんです。
だいたい最初は2時間かかったとして、次は1時間半、次は1時間15分、次は1時間、次は50分、次は45分…と徐々に40分に近づいていくんです。
流川さん
そうすると、やればやるほど速度って上がっていくんですね!
三輪さん
そのとおりです。
最終的には、試験会場でロスする時間も考慮して、30分から35分を目指してもらいます。私の教え子には、皆さんと同じ時間かかっていたのが、練習でわずか20分でできてしまう人さえいるんですよ。しかもミスなく、とてもきれいに仕上げるんです。
流川さん
すごい!
三輪さん
ビッグな電気工事士になる自分としては負けられない!
野田さん
30~35分くらいあれば、時間ギリギリということがなくなり、見直す時間やミスが見つかった場合に修正する時間も取れます。
流川さん
そうするとどんなスケジュールでやればよいですか?
野田さん
今、皆さんは仕事が終わった後、作業場を開放して、練習していただいていますよね。今日は1回だけでしたが、次回には、2回はできると思います。そして次々回は3回できるようになるとかなりの量できますね。

つまり平日1回→2回→3回→4回→4回→4回
   休日4回→5回→6回→6回
流川さん
と、だいたい10日から2週間くらいで全部の課題を3回ずつ練習できます。

また作業できないときは、複線化の練習や欠陥の確認などしておくとさらに効率がいいです。
流川さん
がぜん、やる気になってきました!
野田さん
最初の結果だけで落ち込んでいる場合じゃないんですね!
三輪さん
そのとおりです!きちんとした練習は嘘をつきません。まずは、最初は①欠陥がない正確な作業から初めて、そして②速度、最後に③見栄えの良さを意識しましょう。
流川さん